下腹部のふくらみは、鼠経ヘルニアかもしれません。
◆ 鼠経(そけい)部とは
鼠経部とは、下腹部の太もものつけねのすぐ上の部分のことです。
「脚の付け根」「股の付け根」…人によって色んな言い方がある部分です。
その部分にポコっとした丸いふくらみ、でっぱりが出るのが鼠経ヘルニアです。片側のことが多いですが、両側とも出っ張ることもあります。
鼠経ヘルニアは、「脱腸」とも呼ばれ、鼠経部の筋肉が緩み、小腸などの内臓が弱った筋膜と一緒に皮膚の下に出てきている状態です。
鼠経ヘルニアで特徴的なのは、立ったり、おなかに力を入れると下腹部に丸いふくらみが出て、横になっておなかの力が抜けると引っ込んでふくらみが無くなることです。痛みがないことが多いですが、人によっては痛むこともあります。
◆ 鼠経ヘルニアの緊急事態!”嵌頓”とは
鼠経ヘルニアで、緊急な処置が必要になるのは、腸が出っ張って戻らなくなる「かんとん(嵌頓)」という状態になったときです。出入りしていた腸が、あおむけになって押しても戻らず、強く痛みます。その場合、そのままにしておくと腸が壊死して生命に関わりますので、すぐに近くの救急病院に連絡して駆け込む必要があります。嵌頓状態になった鼠経ヘルニアは日帰り手術の適応外になります。
横になったり手で押し込んだりしてふくらみが引っ込む状態であれば緊急性はありませんが、大人の鼠経ヘルニアは出なくなるということは無く、ふくらみが徐々に大きくなっていきます。
治療は手術しかありません。少しずつ進行していく病気ですので早めに手術を受けた方がいいとお話ししています。
早期の鼠経ヘルニアの手術は、入院せずに日帰りで行える場合があります。
◆ 鼠経ヘルニアと間違えがち。似た症状の病気とは
下腹部のふくらみで、他の病気は、以下のものもあります。
リンパ節の腫れ
太もものつけねのリンパ節が炎症などで腫れると、コリコリした1㎝位のしこりが触るようになります。炎症で痛むこともあります。もしリンパ節の腫れであれば、内科で診察を受けると良いでしょう。
皮膚の炎症
皮膚の炎症皮膚にできる粉瘤とよばれる良性腫瘍や毛嚢炎で皮膚に1、2㎝のしこりができて赤く腫れることがあります。そのような場合は、皮膚科、形成外科で診察を受けると良いでしょう。
◆ 何科を受診したらいい?
鼠経ヘルニアの診察は、外科になります。
手術後の痛み具合や、術後の生活についてまとめた記事もあります。ぜひ見てみてくださいね!
大宮セントラルクリニックは、下肢静脈瘤・鼠径ヘルニアの日帰り手術を行っている外科クリニックです。
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