ふくらはぎや太ももにボコボコ膨らんだ血管が浮き出る下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)。一見、そのボコボコ血管が諸悪の根源のように思えますが、実は原因は別のところ。
このページでは、脚の静脈の解剖を交えて、下肢静脈瘤の原因を説明していきます。
脚の血管はこんなつくりになっています
血管には「動脈」と「静脈」がありますね。このうち、心臓から出た血液(酸素や栄養たっぷり✨)を身体中に行きわたらせるのが動脈で、行きわたった後の血液(二酸化炭素や老廃物いっぱい❕)を再び心臓へ戻すのが静脈です。
そして、脚の静脈は存在する場所により以下のように種類が分かれています。
静脈の種類
皮膚~皮下脂肪あたりの 浅い場所にある表在静脈(ひょうざいじょうみゃく)
表在静脈と深部静脈をつなぐ穿通枝 (せんつうし)
筋肉や筋膜の間などの 深い場所を走る深部静脈(しんぶじょうみゃく)
主にこの3つにわけることができます。(皮膚に近い順です)
これらの身体にとって重要な役割をするものや太い静脈は図のように名前がつけられていますが、血管というのはネットワークになっていますので、実際には名前のつかないような枝の静脈(分枝)が数えきれないほど存在します。
手の甲や腕を見てみてください。たくさんの血管がネットワークのように繋がっているのがわかりますか?血管は太いものから目に見えない細いものまで細かく張り巡らされ、血液を循環させています。
静脈瘤になりやすいのはどこの静脈?
下肢静脈瘤は伏在静脈の病気です。
もちろん他の静脈に逆流が起きることもありますが、下肢静脈瘤の原因となりやすいのは大伏在静脈(だいふくざいじょうみゃく)と小伏在静脈(しょうふくざいじょうみゃく)。足の伏在静脈の中でも太めの静脈です。
大伏在静脈は脚の内側を走る静脈。脚の付け根部分から太もも~内くるぶしまでを通っています。
小伏在静脈は膝裏からふくらはぎ~外くるぶしまで通っている静脈です。
超音波検査でボコボコ血管をたどっていくと、だいたいが大伏在静脈か小伏在静脈のどちらか(もしくは両方)の逆流が元になっていることがわかります。
静脈の仕事に欠かせない『弁』。壊れると静脈瘤に…
静脈の仕事は血液を心臓へ戻すこと。
血液の流れは心臓へ向かって一方向である必要があるので、血液が逆流しないように「逆流防止弁」というものがたくさんついています。
弁のイメージに近いのは、一方通行の自動改札機でしょうか。通ったあと戻ろうとしても扉がパタッと閉まって通れないですよね。
そんな感じで弁は血液の方向を一方向に保っているわけです。
脚の静脈の場合、足先から心臓まで上方向に流しています。ふつうは重力があるので下がってきてしまう血液を、弁がせき止めてくれるおかげで逆流させずに上方向だけに流すことができるんですね。
では、この弁が壊れてしまったら?
ひとつの弁が壊れたとき、血液は下へ逆流します。すると、その下にある弁に倍の負担がかかり、耐え切れず壊れてしまいます。こうしてドミノ倒しのように弁が壊れていき、通常の血流+逆流で過剰な血流量になった静脈はどんどん膨れて太くなっていきます。
初めは伏在静脈だけの逆流だったのが、ダムの決壊のごとく分枝静脈にも逆流し、次第に分枝静脈も逆流していきます。
分枝静脈は伏在静脈よりも皮膚に近いので、分枝が逆流して太くなってくると見た目にわかるようになります。多くの患者さんが下肢静脈瘤に気が付くのがこのタイミングです。
(伏在静脈が皮膚近くを通っている”表在”タイプの静脈瘤もあります。表在タイプの人は、伏在静脈だけの逆流で結構ボコボコが目立ちやすいです)
初診でいらっしゃった患者様に、いつ頃からボコボコ目立ち始めましたか?と尋ねると『よくわからない。気が付いたらこうなっていた』とお答えになる方が多いです。
それも当然で、なぜなら下肢静脈瘤の進行は比較的ゆっくりしたものですので、立ち仕事や肥満、妊娠・出産など脚に負荷がかかる要因が無ければ、進行のスピードは年単位です。
いきなり今の状態になったのではなく、ゆっくりゆっくり血管が太くなっていったので、日々の変化はわずかなもの。
言い換えれば、ボコボコ血管に気が付いた時には、静脈の逆流が始まってからすでに数年経過しているということになるわけですね。
そして逆流してしまった血液は、正常な静脈に流れて行ければ心臓へ戻ることができますが、また逆流した静脈に行ってしまうと・・・また逆流してしまいます。
そのうち逆流は常態化し、血液が脚にうっ滞するようになると、「むくみ」「脚のつり」「だるさ」「疲れやすさ」「かゆみ」「皮膚炎」などの様々な症状を引き起こすようになっていきます。
これが下肢静脈瘤です。すべての原因は弁不全による逆流というわけです。
じゃあどのようにして下肢静脈瘤を治すのか?
それはまた次回のブログで✋
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2007年に埼玉県さいたま市大宮区で開院して17年。診療日は毎日診察・手術を行っています。
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